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ダム水源地域サポート
事業報告会
報告会の目的
各団体からの報告の概要
Point ダム水源地域サポート事業の問い合わせ先

(一財)水源地環境センター
調査部
TEL.03-3263-9945
FAX.03-3263-9922

00  当財団では、平成12年度に「水源地の自立的・持続的な発展」に寄与する多様な活動に対して支援を行う「ダム水源地活性化支援事業」を創設し、平成15年度に名称を「ダム水源地域サポート事業」に改めて、支援を継続しています。
支援事業を受けることの出来る対象団体は、法人(第3セクター、民間企業、特定非営利活動法人等)、任意団体(ボランティア団体等)、小・中学校等、地方公共団体(市町村)およびこれらに付属する団体とし、認定された団体に対しては、原則として3年間で年度毎50万円以内を支援することとしております(単年度事業の場合は100万円以内)。平成12年度の制度創設以来、平成21年度までに301件の応募があり、これまで67団体が認定され、現在14団体に対して支援しています(H22.2月末現在)。
また、10年経過の節目となる平成22年度の認定団体募集におきましては、事業の更なる活性化、改善のための方策を講じていく必要があると考え、従来通りの募集に加え、これまでの活動をさらに発展させようという実験的活動の企画案を求める「テーマ型」支援の募集を開始しました。
今回、昨年度第1回目に続き、第2回目となる各団体の活動状況報告会を開催しました。当日の様子などについて簡単にご紹介いたします。

報告会の目的
 平成20年度認定の8団体と平成21年度認定の2団体の計10団体の皆様にこれまでの活動を振り返り、また、これからの活動をよりよいものとして頂く情報交換の場として「ダム水源地域サポート事業報告会」を開催いたしました。
第2回目となる今年の報告会でも、報告内容についての質疑、他団体の活動に対する感想などを忌憚なく発言していただき、大変活発なものとなりました。各団体の発表内容は、他地域の活動にも応用できそうな様々な知恵やヒントが満載でした。
また、報告会後の意見交換では、各地の情報交換が盛んになされました。
報告会の概要は次のとおりです。
各団体からの報告の概要
  NPO法人 NATURAS/北海道・新中野ダム   http://naturas.okoshi-yasu.net/
  「森とダムと水の関係を学ぶ環境教育事業」
01  親のいないところで仲間と助け合って、時にはケンカしながら色々な遊びにチャレンジし、その遊びの中での失敗と苦労を通して多くのことを学んでほしい、頑張って何かを成し遂げることの楽しさを知ってほしい、それがNATURASさんの活動目的です。
小学1年生から中学2年生までを対象に、春にはバームクーヘンを焼いたり、夏の夜にはクワガタ探検に出掛けたり、秋には奥尻島の探検に出掛けたり、冬にはサケの川のぼりを観察したりと、四季を通じて様々な活動プログラムを実施しているとのことでした。
今回は、夏と冬に行われる「ニホンザリガニ探検隊」の活動を報告していただきました。
ニホンザリガニは日本固有のザリガニで、かつては北海道の河川・湖沼のいたるところに生息していたとのこと。現在ではほとんどみることの出来ない非常に貴重な存在だそうです。幻の青いニホンザリガニもいるとかいないとか・・・。
そんなニホンザリガニを求めて、子供たちは夏でも冬でもダムを越えて楽しそうに山の奥深くに分け入っている様子でした。子供たちはみんな笑顔いっぱいで、まさに北海道の大自然を舞台に遊びを満喫しているようでした。大人になったら都会に出て行ってしまう子供たちが大半の昨今、子供時代のある時期をこのような活動を通して、心豊かに成長していってほしいなと思わせる報告でした。

  NPO法人 水守の郷・七ヶ宿/宮城県・七ヶ宿ダム   http://www.mizumori7.org/
  「QRコードを利用した町の情報発信」
02 七ヶ宿ダム水源地域ビジョンをきっかけに誕生したNPO法人で、H20年3月に法人取得、それと同時にホームページを立ち上げ、七ヶ宿町内外に「水守の郷・七ヶ宿」を広く発信するベースを完成させたとのことでした。
今年度は、単なる町の情報の収集・発信にとどまらず、QRコードステッカーを製作して商品、店舗、町内の看板などに貼付し、水源地七ヶ宿の認知度を多面的な角度から拡げることを目的とした活動に取り組んだそうです。
下流受益地の住民に水源地の大切さを知ってもらいたい。水源地でのボランティア活動や体験学習に参加してもらうことで、水源地で暮らす人々への刺激を与えてほしい。
また、水源地の人たちに水源地で暮らすことへの自覚、誇りを持ってもらいたい。
そのような七ヶ宿町内外の人々の交流によって、連帯感をもった水源地の活性化を図り、地域コミュニティを再生させる。それを使命として今後も活動を継続していかれるそうです。

  もりと水の源流文化塾/埼玉県・二瀬ダム、滝沢ダム 
 http://morimizu2008.blog43.fc2.com/blog-entry-43.html
  「おおたき源流ツーリズム」の推進による個性と魅力ある大滝ブランドの発信
03  秩父市にある二瀬ダム、滝沢ダムのある荒川源流部から下流域に住む人たちに情報発信をしよう、と立ち上げたのが「もりと水の源流文化塾」です。
埼玉県、秩父市、国土交通省や各NPO団体などが参加して、源流部の各種情報を下流域の方たちに発信している、とのことでした。
各団体のイベント情報を集約してパンフレットにして配布したり、「おおたき源流ツーリズム」という形でホームページでも発信しているとのことでした。
この地域にはお年寄りが多く、そのお年寄りの知恵と経験と伝統を活かしてもらおうと、家の縁側を利用してお客さん達にこんにゃく作りや蕎麦引き、竹細工など様々なことを経験してもらう「えんがわ塾」なる活動は、他の参加者たちに興味を引いていました。
このような地域の特徴を活かした、地域に根ざした活動をこれからも続けて行きたい、とのことでした。

  NPO法人 九頭竜自然樂校/福井県・九頭竜ダム
  「ダム湖、流域周辺の地域活性化と森林保全、間伐材のリサイクル利用」
04 ホームページ「九頭竜地方発ドットネット」というネーミングは、九頭竜川と国道158号線が並走しているエリアで活動していることから名付けられたそうです。
このエリアは、福井県の東端、隣はもう岐阜県という特別豪雪地帯で、過疎化が進み人口も減少しているそうです。
そのことが逆に手付かずの自然環境を残すことになり、自然体験活動を展開しやすい状況でもある、とのことでした。
ダムの流木や間伐材を利用して製作したプランターを近隣の幼稚園や保育園に提供したり、ダム湖を利用したカヌー講座の開催などを行っている、とのことです。
他にも地元の自然を活かしたアウトドア体験なども行っているそうです。
しかし最近は、受け入れスタッフの人数が少ないことが課題だということです。
このため、スタッフの育成にも力を入れている、とのことでした。

  NPO法人 九頭竜自然樂校/福井県・九頭竜ダム
  「富郷ダム貯水池周辺の森林保全と環境学習」
05 ''人と自然が共存できる社会奉仕をしよう''と、2000年10月、富郷ダム湖畔に21のボランティア団体130人が集まり、2001本の樹木を植えたのが「ボランティアの森委員会」の始まりです。
以来、現在までに25のボランティア団体が参加し、下草刈りや施肥活動を続けてきた結果、9年前に植えた樹木も今では5m以上にまで生長しているとの報告でした。
森を造ること以外にも、森林保全に関する講演会の開催や地元中学生を対象に職場体験実習など、水源地における様々な森林保全活動を行っているようです。
今回のサポート事業では、第2次ボランティアの森として、ダム湖畔の新たな地滑り地区を選定し、昨年6月に植樹際が行われました。
「植える喜びと育てる喜び、育った樹木が発信するメッセージを享受する喜び」これらを与えてくれる森林保全活動を今後も世代を越えて続けていきたいとの報告でした。

  製作者集団 猪八戒/岡山県・苫田ダム
  「吉井川上流域の伝統行事奉納相撲継承と地域活性化」

06 製作者集団猪八戒さんが活動する岡山県苫田郡鏡野町上齋原地区は、苫田ダムの位置する一級河川吉井川本流の最上流域に位置し、やはり過疎化の著しい地域だそうです。
昔から、地域の伝統行事として男性による奉納相撲が盛んに行われていたとのこと。
上斎原地区の過疎化が進む中、地域の伝統行事であった奉納相撲は、昭和35年に一旦途絶えてしまったそうです。
町起こしのため、相撲を復活させようと立ち上がったまではよかったものの、男性陣から「まわし姿になるのは嫌だ」との声が上がり、そうこうするうちに「それなら私達がやる」と女性陣が立ち上がったとのこと。
「猪八戒」という名前の由来ですが、地元で行われていた祭りの際に、橋の上に設置されていたアーチ状の提灯から、青森県で有名な「ねぶた」をイメージして「寝豚(ねぶた)」→「酒好きで怠けた豚」→「猪八戒」としたそうです。
会員数が減っていく中、地元の中学生やボランティアの方に手伝ってもらいながら、これからも地域の相撲文化の復興と継承を基本に地域活性化の活動を続けて行きたい、との報告でした。

  阿仁前田獅子踊り保存会/秋田県・森吉山ダム
  「伝統文化の継承の活動」
07 阿仁前田獅子踊りは、秋田県の中央東部に位置する北秋田市前田地区で古くから伝えられてきたそうです。
江戸時代の参勤交代の大名行列を模したもので、元々は士族階級の行事だったそうですが、明治維新とともに庶民化したのではないかと言われているとのことです。
今から約400年前の慶長年間に、佐竹公が水戸から秋田に転封された際に、家臣達が長い旅路の慰みとして、また行軍の士気を鼓舞するために佐竹公にお目にかけたのが始まりとされているようです。
この話を聞いただけでも、歴史好きな方は、何かわくわくするような気持ちになりそうです。
そんな長い歴史のある阿仁前田獅子踊りも、地域の過疎化に伴って後継者不足の問題があるそうです。地元の小学生に伝えたり、他の地域への公演活動に積極的に取り組み、その歴史を絶やさぬよう保存・伝承に努めているそうです。
しかし、長い歴史の中、資料等が散逸してしまい、完全な形での復元は出来ていない、といった問題があるそうです。
報告会の他の参加者からは、諦めずに探してください、と励ましの言葉を掛けられていました。何とか探し出せるといいですね。

  製作者集団 猪八戒/岡山県・苫田ダム
  「吉井川上流域の伝統行事奉納相撲継承と地域活性化」

08 製作者集団猪八戒さんが活動する岡山県苫田郡鏡野町上齋原地区は、苫田ダムの位置する一級河川吉井川本流の最上流域に位置し、やはり過疎化の著しい地域だそうです。
昔から、地域の伝統行事として男性による奉納相撲が盛んに行われていたとのこと。
上斎原地区の過疎化が進む中、地域の伝統行事であった奉納相撲は、昭和35年に一旦途絶えてしまったそうです。
町起こしのため、相撲を復活させようと立ち上がったまではよかったものの、男性陣から「まわし姿になるのは嫌だ」との声が上がり、そうこうするうちに「それなら私達がやる」と女性陣が立ち上がったとのこと。
「猪八戒」という名前の由来ですが、地元で行われていた祭りの際に、橋の上に設置されていたアーチ状の提灯から、青森県で有名な「ねぶた」をイメージして「寝豚(ねぶた)」→「酒好きで怠けた豚」→「猪八戒」としたそうです。
会員数が減っていく中、地元の中学生やボランティアの方に手伝ってもらいながら、これからも地域の相撲文化の復興と継承を基本に地域活性化の活動を続けて行きたい、との報告でした。

  首長囃子関保存会/神奈川県・宮ヶ瀬ダム
  「ダム水源地における人材育成活動」

09 首長囃子関保存会さんは、神奈川県相模原市津久井町青山地域を流れる一級河川串川に位置する青山神社周辺で毎年行われる祭り行事で、昭和44年に「首長囃子」として結成されたのが始まりだそうです。
その後、青山神社のある「関」という地名を取って、現在の名前に改め、現在にいたっているそうです。
保存会では、囃子の保存や後継者の育成などを通じて、地域との交流、活性化に努めている、との報告でした。
特に、地域との交流では、「宮ヶ瀬フェスタ」や「市・民族芸能大会」、毎年恒例の「串川の夏祭り」への参加のほか、囃子の会報を年一回作成し、各自治体に配布することによって地域に首長囃子を伝えているそうです。
しかし、近年の少子高齢化社会による会員の高齢化という状況のもと、若者への指導、会員の募集、練習時間の確保といった課題もあるようですが、なんとしても、地域の更なる活性化に努めていきたいということでした。
発表者自ら首長囃子の法被を着込んでの、元気いっぱいの発表でした。

  松川湖友の会/静岡県・奥野ダム
  「松川湖(奥野ダム)の森林保全と美化活動」

10 松川湖は、静岡県伊東市を流れる二級河川伊東大川に位置する奥野ダムの貯水池です。
中心市街地である温泉街から上流5Kmに位置し、周遊道路が市の公園として整備されており、マラソン大会やウォーキングなど、多くに市民にとって憩いの場となっているということです。
現在、水源地域においては、放置人工林、野生のシカ等による食害、放置竹林による森林・里山の崩壊という問題点があります。
松川湖も例外ではないそうで、特に、竹の強い生命力は、周辺の雑木林をあっという間に駆逐してしまうそうです。
そこで、一般市民に呼びかけ、7年前から水源地域の竹を駆除する活動を始めたのが、会発足の始まりだそうです。
伐採した竹は、移動式簡易型炭焼窯で焼いて竹炭にし、夏休みに開催されるダム教室でプレゼントを行い、水源の保護・自然保護をアピールしているとのことです。
移動式簡易型炭焼窯の出炭率はうまく調整すれば、8割以上はいく、との発表に他の参加者からは、「この窯はどこで、いくらで購入できるのか?」といった質問も出ていました。
水源地域では、皆さん同じような問題を抱えているんだな、ということがこの質問からも分かりました。
今後は、竹の駆逐跡地の雑木林への再生、炭焼窯の広域的有効利用を図っていきたい、ということでした。

全体を通じて感じたこと

 昨年に引き続き、第2回目の報告会開催となりました。
参加者皆様の協力のおかげで、今年も大変活発な報告会となりました。
報告後の質疑応答や、他団体の活動内容に対する感想の発表など、積極的に発言して頂きました。
各団体とも、自分たちの団体に有効そうなアイデアや成果を持ち帰ることができたのではないでしょうか。
報告会後の意見交換会でも、皆さん活発に話をされ、自分たちの活動をアピールしていました。
今回の報告会を通じて感じたこととして、参加されている各団体の方たちが皆さん、明るく社交的であるということです。水源地域の置かれている現状は、そのほとんどが過疎、高齢化といった厳しい環境にあり、後継者不足や税収減による財政難です。そのような中でも、「なんとか自分たちが住む地域を 活性化したい!元気にしたい!」と頑張っておられる皆様の熱意がひしひしと感じられました。
水源地域の本当の意味での活性化は、経済的な充足だけではなく、そこに暮らす人々が心の充実感・充足感を持つことです。それを実現できるかできないかは、皆様方の活動が、今後も継続していけるかどうかにかかっております。本当の成果を上げられるかどうかは皆様しだいです。

最後に、私どもとしても、このような活動に関与することができ、大変光栄に感じております。
私どものサポート事業は、活動のほんの一瞬の支援にしか過ぎませんが、今後の自立的・継続的な活動のお役に立てれば幸いと考えております。


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