一般財団法人水源地環境センターは、ダム水源地の適正な管理を図り、ダム水源地の活性化と安全で豊かな国民社会の建設に寄与することを目的に、昭和62 年に設立されました。
設立以来、水源地の環境に関する豊富な経験と高度な知識を活かし(1)ダム貯水池等の水質保全対策、(2)ダム貯水池等の堆砂対策、(3)ダム周辺環境整備及び水源地域振興、(4)ダムの流水管理(高水・低水)、(5)ダム水源地の生態環境の保全・創造、(6)ダム事業等の環境影響評価、(7)ダム等管理の総合計画、等に関する調査・研究及び技術開発等を行ってまいりました。このうち調査研究を推進する中心的役割を、センター設立と同時に発足した水源地環境技術研究所が担っています。
センターの発足当初は、ダム水源地域の活性化に寄与する環境整備やダム管理で問題になる貯水池の水質保全対策と堆砂対策を中心に調査研究が行われました。その後、自然環境重視の社会的背景から、環境アセスメントや生態系保全対策の調査研究にも重点が置かれるようになりました。
最近では、水害の激甚化・頻発化を踏まえた治水対策の更なる推進、カーボンニュートラルなど脱炭素社会の実現に向けた取り組みの加速化、ダム所在地の地域振興など、ダム管理を取り巻く環境は多種多様であり、ダムの効果的な管理に向けた調査研究を推進することが重要となっています。引き続き、時代のニーズを見据えて適切なテーマを選定し、ダム管理の充実に資する成果を目指して今後も調査研究に取り組んでまいります。
調査研究の成果は、平成10年度の創刊から毎年、水源地環境技術研究所所報として取りまとめてまいりました。本報は、令和4年度の調査研究成果を取りまとめたものでありますが、継続中の調査や研究も含まれるため、成果品としては未解明な部分や不十分なところも見受けられるかと思います。皆様方からのご意見も賜りながら今後も内容を充実させ、ダム・水源地に関連する諸課題の解決に少しでもお役に立てればと考えております。
最後に、これまでの所報の作成に当たりまして、多大なご指導とご支援を賜りました関係各位に改めて心から御礼申し上げます。
令和5年11月
一般財団法人 水源地環境センター 理事長 平井秀輝 水源地環境技術研究所 所 長 奥秋芳一
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